頭部の血管が拡張し、炎症を起こすと、まわりの神経が刺激を受けて偏頭痛が起こります。その誘導因子は人によって違っていて、アルコールや食品がきっかけとなる人もいれば、ストレスからの開放やホルモンバランスの乱れ、空腹、睡眠不足、寝過ぎなどが誘因となる人もいます。
ではなぜ脳の血管が拡張するのでしょうか。
■セロトニン説
古典的な偏頭痛の仮説です。
まずストレスや緊張などにより脳が刺激を受けると、血液中の血小板からセロトニンが放出されます。セロトニンは血管を収縮させる作用がありますが、放出されたセロトニンが他の血小板を刺激して連鎖反応が起こるため、急激に 脳内の血管が収縮します(この時、偏頭痛前兆が起こると考えられます。)。しばらくしてセロトニンが急速に分解・排泄されて減少すると一度収縮した血管が拡張し、拍動性頭痛が起こるという説です。
■三叉神経血管説
現在最も広く受け入れられている偏頭痛の仮説で、治療薬のスマトリプタンの研究に裏づけられた説です。
まず何らかのきっかけにより、脳の血管の周りの神経である三叉神経が刺激されます。すると三叉神経の末端から、血管を拡張させる作用をもつP物質、CGRPなどのさまざまな神経伝達物質が分泌されます。その結果血管が拡がり、その周囲に炎症が起こって、頭痛となるという説です。炎症によって血管内では血小板が刺激され、セロトニンの放出反応が起こるとも考えられています。
■チャンネル病説
最近注目されている仮説です。
偏頭痛の特殊型として、家族性片麻痺性頭痛という遺伝性疾患があります。家族性片麻痺性頭痛の定義は、前兆を伴う偏頭痛の診断基準を満たしていること、前兆のひとつに片麻痺が含まれること、第1度近親者(親,兄弟,姉妹,子)に少なくとも1名、同様の発作をもつ者が存在することです。最近の遺伝子研究の成果によって、家族性片麻痺性偏頭痛の約半分はカルシウム・チャンネルの遺伝子の異常から起こっていることが判明しました。このことによって、偏頭痛は細胞に存在するイオンチャンネルの異常による疾患ではないか、というのがチャンネル病説です。
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